1000年プロジェクト
『1000年先に渡すもの
最近万葉集が注目されていて嬉しいです。私は大学進学にあたり国文科しか受験しなかったほど日本の文学が好きです。特に五七五七七の「韻律」「調べ」と言われる詩歌の日本語のリズム感がたまらなく好きです。
19歳か20歳の学生の頃に万葉集を読んでいた時に、感動しました。1300年前の人たちの気持ちが手に取るように伝わって共感できることにです。
春過ぎて夏来るらし白栲の衣干したり天の香具山 持統天皇
君待つと我が恋ひ居れば我が宿の簾動かし秋の風吹く 額田王
例えば、初夏の爽やかな気候を歌った持統天皇の一首、秋に恋人または夫をせつなく思う額田王の一首。
これらの歌に出会って、わあ。。素敵!と思った時、私は1300年前の方から手紙をいただいたように思いました。
これが文通なら、返事を書くことができます。しかし、今の時間の観念の中で、1300年過去に生きた方に返歌を返すわけにもいかないなと思った時、お返しとして1000年未来の人に何か届けたいと考えるに至りました。
それが、私が「1000年プロジェクト」と呼んでいるものです。
1000年過去の人、2000年、3000年過去に生きた方から頂いている恩恵は計り知れずあると思います。生きるための智慧の数々を文化として無意識のうちに受け取っていて、治安の良さ、清潔さ、丁寧さなどに現代も活かされています。
では、私たちが未来の人に渡せるものは何か。それは、営々と続いてきた生きるための智慧の文化を渡していくこと以外に、もう一つあると思っています。
私はコミュニケーション心理学の専門家ですが、今人類の進化は内面化されてきたと言われています。内面化とは、物質的な進化の時代から、心の進化の時代ともいわれているのです。
世界観、捉え方、パラダイムを変えると言ってもいいかもしれません。自分を苦しめる考えの習慣、思い込みを手放し、感謝したり満ち足りた幸せな気持ちでいる考えを習慣化させる。
思考の習慣は、親から子へと世代をまたいで無自覚の内に継承されていきます。この思考の習慣を自覚し、思考パターンを変えて次世代に渡していく。
今、脳科学や認知心理学ほかで、心の捉え方の習慣(ビリーフ)を変える手法は数多く発見、開発されています。つまり、今の時代は思考の習慣を変えることが可能な時代であるということです。
ひとたびある世代が思考の習慣を変えてしまえば、次世代以降は無自覚のうちに継承されていきますから、この世代の人たちだけが意識的に改革していけばいいだけのことです。
そうすれば、自動的に未来の人たちが生まれながらにして、肯定的に自分を幸せにする思考パターンを持ったまま人生を生きていけるのではないか。と考えています。
過去にあって継承が途切れてしまった物事の捉え方に関してはもういちどそれを復活させ、既に心に沁みついてしまってなかなか変えられないものごとの捉え方に関しては、現代に生まれた心理アプローチで根本から変容させ
幸せになる心の仕組みを1,000年未来の人に届けていく。
これが、万葉集の歌から学び気付いた私のミッションです。』
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